会えなくなるわけじゃないけれど、
いつもそばにいた人が遠くへ行く日は、胸が少しきゅっとなります。
言葉にしきれない想いを、そっと刺繍に込めました。
春の終わり、友達が京都へ引っ越すことになりました。
彼女は、私が一人東京に出てきてから、初めて意気投合した友達です。
出会いは、切り絵教室でした。
「寂しいな」って言うのは簡単だけど、それだけじゃ足りない気がして。
何か、彼女の手に残るものを贈りたくて――
イニシャルを刺繍したハンカチを贈ることにしました。
「また会おうね」そんな気持ちを、言葉の代わりにひと針ずつ。
完成した刺繍を見て、「もう少しこうすればよかったかな」なんて思ったけれど、
彼女はハンカチをそっと開いて、
「…嬉しい、宝物にするわ」って笑ってくれました。
この春、刺繍が一つの“さよなら”を、
ほんの少し、やさしいものにしてくれた気がします。
離れていても、同じ空の下で。
このハンカチの刺繍が、いつかまた笑顔をつないでくれますように。
制作のこだわり 様子
ハンカチは、タオル地のハンカチにしました。
ハンカチなら気軽に使えますし、気に入っても気に入らなくても役には立つ
しジャマにはならない(笑
アイロンがけしなくて使えるし、気軽にじゃんじゃん使って欲しいからです。
彼女は、年上で賢く大人の女性って感じですが、時々「二カッ!!」と笑う笑顔が
とっても可愛らしい。
頭文字は”M”、色は大人っぽく紫系にして、可愛いお花をたくさん使いたいと思いました。


【参考にした本】
Un Alfabete a Fiori
A Flower Alphabet
Elisabetta Sforza
2年くらい前に一目惚れして買ったまま眺めるだけの本でした。
美しいアルファベット刺繍の本です。

タオル地への刺繍は初めてでした。
図案写しには、水に溶けるシートを使用。
もっと、制作途中の様子を写真に撮っておけば良かったと後悔しています💦
アルファベットのMを刺しながら、
初めて出会った時のこと、
お酒飲みながら、私が具合が悪くなってしまった時の、
彼女の頼もしさ
明るい笑顔
私が東京に出てきた時、一番辛かった時期に「また会おうねっ」って言ってくれた人
そんな事を思い出しながら、仕上げていきました。
贈った時のエピソード
「京都へ引っ越す前に、もう一度、穴子を食べたいねん」
って言ってた彼女。
彼女は、いつも食べるのが凄く早い人で、
私は、全くの逆で、遅い人(笑
穴子食べてから、散歩して、お茶してる時に渡しました。
「綺麗やわ!上手やわ!裏も綺麗やわ、私、こんなん出来へん!凄いわ!」
めっちゃ褒めてくれました(笑
そう、彼女は何でもいつでも凄く私を褒めてくれるのです。
自己肯定感の低い私は、そんな言葉を
『いやいや』と思わないで、
『なるべく素直にありがたく受け取ろう』
と思いました。
刺繍をプレゼントしてみて
贈る相手のことを思いながら、刺繍する時間はとても、有意義な時間でした。
贈って『ありがとう』と言ってもらえますが、
『いえいえ、本当は、刺繍する素敵な時間をいただいて感謝するのは、こちらです』
と言いたい気持ちになります。
刺繍って不思議ですね。ちょっとした糸で、思いや願いをこめる。
ちょこっとしたとても小さな刺繍でも、私は、そこに凄く『愛』を感じます。
ぬくもり、優しさ、心がほっこりして元気をもらえます。
そんな刺繍が私は、大好きです。
次は、彼女に手紙を送るときに、紙刺繍をしてみたいです。
ああ、もっと時間作って沢山刺繍したいなあ